
兄と妹
第6章 初めてのデートは雨模様
暗い気持ちを引きずったまま、遊園地に着いてしまった。
「千ー紗っ。」
千架は私の顔を覗き込んで言った。
その顔は、私の大好きな明るい笑顔だった。
「…ん?何?」
「何って千紗…さっきからずーっと暗い顔してたぞ?せっかく来たんだから、思いっきり楽しも!」
千架はそう言うと、私の手を引っ張って走った。
「え、ちょっと千架!?」
私の言葉が耳に入っていなかったのか、千架はそのまま走り続け、中に入った。
私のテンションが低いと言うのに、最初にいきなりジェットコースターに乗ることになった。
恐らく私が絶叫系好きなのを知って選んでくれたのだろう。
ゆっくりと頂上まで上ってる際、千架は楽しそうに景色を楽しんでいた。
今の気分じゃ絶対楽しくない。
そう思っていたのに、千架の様子を見ていると、なんだか気分が上がってきた。
乗り物が遂に滑り降り、私はテンションが一気に上がったので大声で叫んだ。
私は、ようやく遊園地を楽しめるようになった。
兄といえど、気を遣わせてしまってなんだか申し訳なくなった。
後で謝ろう…そう思いながら思いっきり叫んでジェットコースターを楽しんだ。
ちなみに乗り物の速度がピークになった直後に千架がぐったりしていたが、私がそれに気づいたのは、乗り物が到着する手前だった。
そしてすっかり忘れていたが、千架は絶叫系が苦手である。
