テキストサイズ

失くした恋の癒し方

第5章 恋の行方

「じゃ、またね!」

駅の改札まで送ってくれた谷原さんに微笑んだ。

楽しい時間を過ごした後の別れ際は寂しかった。


「ホント美味しかったよ。ありがとう!
また月曜日に河川敷でな」

「うん…
私こそありがとう。
楽しかったわ」

満面の笑みを浮かべて手を振ったけど…
結局今夜はキスもしてくれ無かった。


谷原さんは明るくしてくれていたけど、きっと今だに過去を引き摺って居ることをとても気にしているに違いない…


酔った女にキスもしてくれないなんて、呆れ返っているに決まっている。


電車に乗り込んだ後、あれこれと考え込んでしまい、どうしてもそのままアパートに帰る気にならなかった私は、一駅先の《ソリチュード》に向かった。



電車を降りて人通りの少なくなった道をバーに向かう――


時計を見たら10時30分。


何処からか秋の虫の鳴き声が聞こえてた…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ