テキストサイズ

淡雪

第1章 15の春

「あら大変

 時間押しちゃうわ。

 急いでメイクしよ」


僕は鏡前に座り槇さんからメイクを施されていた。

僕の視線は終始槇さんを追っていたけど彼女はまるで気にしてくれない。


その時ドアをノックする音が聞こえて


AD さんが顔を出す


「槇さん!押してる!」


「あ、ごめんなさい。

 すぐ仕上がるから

 ディレクターさんに完璧です♪

 って伝えて」


AD さんは親指をたてると

早くねと言ってスタジオへ戻っていった。


完璧?


メイクのことだろうか?


僕はすっかり緊張から解き放たれていたことに気付いていなかった。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ