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淡雪

第1章 15の春

僕が夢心地に浸っていると


突然わき腹をくすぐられた。


「ぶぶぶっ」


彼女の口に思いっきり空気を入れてしまった。


その弾みで唇が離れる。


ああ...


「田辺くん台本読み込みすぎ」


「台本?」


「そうよ。彼女との初めてのキスシーン

 確かベンチで膝枕してもらって

 って感じでしょ」


ああ...そんなシーンあったかも。


でも今のは完全に僕のオリジナルなんだけど...


まっそう思われた方がいいかな。


「あ、バレちゃいました?

 どんな感じかわからなくて

 ちょうどいいなと思ってリハさせてもらいました」


かなり残念な気分だけど...
笑ってごまかす。


「まったく勉強熱心だこと。

 リハは完璧ね。

 でもそのシーン撮りはまだ先なんじゃない?」


彼女は軽く僕の鼻を摘まむ。


なんかホントに恋人同士みたいじゃないか。
この感じ 悪くない
っていうか...


あれ?!ドキドキする。


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