淡雪
第22章 淡雪
それでも僕は働く。
何かをしていないと君を追ってしまいそうだから。
お天気キャスターが
『季節外れの大雪です。
満開の櫻に積もった雪。
滅多に見られない美しい光景です。
少し桜が長く見られそうですね』
そんなコメントをしている。
ああ...
そういえば今日は寒かった。
雪か...
テレビ局を出て雪の降り積もった道を歩く。
満開の桜に雪化粧。
それは美しすぎてあまりにも儚すぎる...
明日には跡形もなく消えてしまう雪と
誰もがその散り際を惜しむ桜
僕はその儚いコントラストに引き込まれるように桜を見上げていた。
突然体が宙を舞う
ああ...こういう時ってスローモーションになるって聞いたことがある。
コントロールを失った車が桜の木に突っ込んだのが見える。
これで俺も側に行けるかな?
璃子さん、君と子供とずっと一緒にいられるかな?
アスファルトに叩きつけられた俺はものすごい衝撃のはずなのにふわりと柔らかいものに落ちたような感覚。
璃子さんとはじめてみる男の子が笑っている。
こんなときにフランダースの犬を思い出すっておかしいかな?
「坂井くん」
璃子さん、結局僕のこと賢夢って呼んでくれなかったね。
だけどそんなことどうでもいい。
聞きたかった声、会いたかった璃子さんに会えたんだから。
僕も瞳を閉じてもいい?
璃子さんとキミのそばへいってもいい?
完
何かをしていないと君を追ってしまいそうだから。
お天気キャスターが
『季節外れの大雪です。
満開の櫻に積もった雪。
滅多に見られない美しい光景です。
少し桜が長く見られそうですね』
そんなコメントをしている。
ああ...
そういえば今日は寒かった。
雪か...
テレビ局を出て雪の降り積もった道を歩く。
満開の桜に雪化粧。
それは美しすぎてあまりにも儚すぎる...
明日には跡形もなく消えてしまう雪と
誰もがその散り際を惜しむ桜
僕はその儚いコントラストに引き込まれるように桜を見上げていた。
突然体が宙を舞う
ああ...こういう時ってスローモーションになるって聞いたことがある。
コントロールを失った車が桜の木に突っ込んだのが見える。
これで俺も側に行けるかな?
璃子さん、君と子供とずっと一緒にいられるかな?
アスファルトに叩きつけられた俺はものすごい衝撃のはずなのにふわりと柔らかいものに落ちたような感覚。
璃子さんとはじめてみる男の子が笑っている。
こんなときにフランダースの犬を思い出すっておかしいかな?
「坂井くん」
璃子さん、結局僕のこと賢夢って呼んでくれなかったね。
だけどそんなことどうでもいい。
聞きたかった声、会いたかった璃子さんに会えたんだから。
僕も瞳を閉じてもいい?
璃子さんとキミのそばへいってもいい?
完