淡雪
第8章 出会い
『Jさんがなんでお前に声をかけた?
既にいろんな世代の人間がお前を知っている。
しかもそのツラ。
野球人にするにはもったいない。
ちょっと背はでかいが、モデルという道だって可能だ。
うちの事務所にとっても新たなウリが出来るわけだよ。
あのJさんが目をつけたんだ。
それだけで売れる。
迷う余地はない』
『...』
俺は俯く
『あのな、アイドルをスポーツ紙がスッパ抜くって恋愛ネタ以外あんまりねーぞ。
それだけでもうちにとっちゃ新たなウリ口なんだよ』
『ですが...この先の人生をかけるほどの確信が持てないんです』
俺は何とか声に出す。
『確信なんてねーよ。
信じて必死にやるだけだ。
でもよ、じゃあサラリーマンなら夢の人生が歩めるのか?
それだって保証はない。
みんな選んだ道で必死に真剣に闘うからやっていけるんじゃねーの?』
『...そうですね』
『なんかやりたいことあるのか?』
『実は建築の道に進もうかと』
『建築?』
『ええ。自分が死んでからもずっと残る建築物を造ってみたくて、大学は建築学科に進みました』
田村くんがニヤリと笑う
『坂井、建築を残すのもいいが
お前自身を残してみないか?』
俺、自身?
既にいろんな世代の人間がお前を知っている。
しかもそのツラ。
野球人にするにはもったいない。
ちょっと背はでかいが、モデルという道だって可能だ。
うちの事務所にとっても新たなウリが出来るわけだよ。
あのJさんが目をつけたんだ。
それだけで売れる。
迷う余地はない』
『...』
俺は俯く
『あのな、アイドルをスポーツ紙がスッパ抜くって恋愛ネタ以外あんまりねーぞ。
それだけでもうちにとっちゃ新たなウリ口なんだよ』
『ですが...この先の人生をかけるほどの確信が持てないんです』
俺は何とか声に出す。
『確信なんてねーよ。
信じて必死にやるだけだ。
でもよ、じゃあサラリーマンなら夢の人生が歩めるのか?
それだって保証はない。
みんな選んだ道で必死に真剣に闘うからやっていけるんじゃねーの?』
『...そうですね』
『なんかやりたいことあるのか?』
『実は建築の道に進もうかと』
『建築?』
『ええ。自分が死んでからもずっと残る建築物を造ってみたくて、大学は建築学科に進みました』
田村くんがニヤリと笑う
『坂井、建築を残すのもいいが
お前自身を残してみないか?』
俺、自身?