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淡雪

第8章 出会い

『ま、もうちっと考えな。

 それにお前には例のセンチな目的もあるだろ』


『あ...』


『売れるタイミングはそう多くはない。

 高校球児だったお前を覚えててくれる


 今が売りだ


 新たな高校球児が出てきてお前が霞む前にな』


『霞む?』


『世間なんて冷たいもんだよ。

 いつまでもお前を覚えちゃくれない』


『はぁ...』


『それに例の彼女に見つけてほしいんだろ

 だったらお前を売り出して有名になれ』


痛いところを突いてくる...


『建築で有名になるには途方もない時間が必要だ。

 彼女がもしお前を見つけて会いに来たとしても

 既にお互い大切な相手に出会った後かもしれない

 それでも、いいのか?』


良くは、ない。


自分でも情けないと思う。


でもなぜか踏ん切りがつかないんだ。



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