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淡雪

第12章 プロポーズ

ーーこんなに愛されている自分はしあわせもの。

  坂井くんと離れて新しい出会いがあったとして

  ここまで愛されるだろうか...。


体じゅうを坂井くんの唇に侵食されながら

そんなことを思った。


ーー恋い焦がれて大恋愛で結ばれる...

  そんなのはきっと夢見ばなしだ。

  それを求めている間に私を愛してくれるひとはいなくなってしまうだろう


「坂井くん...

 待っているわ

 あなたのこと

 ここで 待っているから...」


私は坂井くんを抱き締めて言葉にした。


坂井くんの動きが止まる。


「本当...?」


坂井くんの瞳が私の瞳を覗きこむ。


私はにっこりと笑った。


「ほんと...。

 でも正直にいって

 まだ よくわからない。


 でも 坂井くんのことは好きよ


 だからこの気持ちに素直になってみようと思う」

坂井くんの目が見開かれる。


「璃子さん!」


坂井くんが強く抱き締める。


唇が重なり

吐息と舌が口のなかで絡み合い

熱い想いが溢れ

私の体に染みてゆく...。


熱くて... 熱くて...


この熱にほだされてしまいそう...


「璃子さん

 愛している。


 ずっとあなたを大切にする」


坂井くんは私をまっすぐに見つめて
そう言った。


そしてまた唇が重なり

想いを押さえきれない
彼の狂おしいほどの愛が
私の体を火照らせ
高めていく...。


強く抱き締めあいながら


ーーこれでいいんだ


と思う。


彼を受け入れ
彼とひとつになり

彼の激しい愛が私の意識を薄れさせる...

真っ白い光の渦に何度も溺れながら

愛という快楽に身を委ねる...


「璃子さん

 幸せになろう」


その言葉を聞きながら
私は意識を飛ばした。



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