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淡雪

第13章 愛されること

「じゃ、璃子さん

 行ってくるね」

坂井くんは玄関でそう言って何度目かのキスをする。


「もう行かないと新幹線に間に合わないよ」


「うん、わかってる
 じゃあ、
 行ってくるね」

そしてドアノブに手をかけ
振り向いて
またキスをする。


「夢じゃないよね」


「夢じゃないから
 もう行かないと」


「うん...」

意を決したように扉を押しかけて
振り向く。


「帰ってきても

 いなくなってないよね」


私はあきれなから笑う


「ちゃんといるから

 お仕事頑張って」


「わかった」

そして
ガバッと
私を抱き締めた。


「よし!

 行ってくるね。

 ちゃんといてね」


「大丈夫よ」


今度は私からキスをした。


「いってらっしゃい」


坂井くんの目が真ん丸になっている。


「璃子さんが僕にキスしてくれた...」


「もう、いい加減行かないなら

 私が出ていくわよ」


「わかった、わかった。

 頑張ってくるから

 帰ってきたらご褒美のキスしてね」


子供だ...。


「わかった。

 もう行かないと

 kissしてあげない」


「最後にもう一回だけ」


坂井くんはそういうと


ディープな舌を絡めるキスをする。


腰が抜けそうになるのを堪える。


「璃子さん

 感じちゃったでしょ。

 続きは帰ってきてからね。

 浮気しちゃダメだよ」


「しない」


「よし!」


坂井くんは名残惜しそうに見つめながら
扉を出ていった。


ーーやれやれ...

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