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淡雪

第1章 15の春

「田辺さん入りまーす!」


AD さんの大きな声

僕はマネージャーとともに頭を下げる。


「今日から入ります田辺です。

 宜しくお願いします」


15歳、初めてのドラマの現場


近くで休憩をしていた俳優さん達が声をかけてくれる。


「田辺くん今日から?まってたよ」

にっこり笑ってくれたのは父親役の大林薫さん。

「よ、宜しくお願いします」


緊張で口から心臓が出そうだ。


「アイドルくんが芝居なんて出きるわけ?!」


ちょっと意地悪な目で見ているのは大物女優石川万里子さん。

マネージャーが石川さんに歩み寄る


「ご迷惑お掛けするかもしれません。

 勉強させていただきますので

 石川さんのご指導お願い致します」


石川さんは僕を一瞥する


「頑張りますのでご指導ください」


顔が膝につくくらい頭を下げる。


「可愛いじゃない。いくつ?」


「15です」


「これからね。頑張んなさい」


石川さんはそう言って控え室へ消えた。


そのあと監督さんをはじめスタッフさんに挨拶する。

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