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淡雪

第2章 恋心

「おはようございます♪」


澄んだ声がスタジオに響く。


満面の笑顔に隙のない振るまい。
さすがに売れっ子。
芸能界を心得ている。

プロデューサー、ディレクター、大物俳優、そしてカメラマンからAD 、照明さんなどすべてのスタッフに眩しい笑顔を向ける。


「田辺くん、宜しくね」


非の打ち所のない笑顔で僕に挨拶の手を伸ばす。


「よ、宜しくお願いします」


ヤバイ...

完全に呑まれた...


「もう、緊張してるの?」


にこやかな表情のなかに僕を探るような鋭い眼光。

僕はすっかり蛇に睨まれたカエルみたいに萎縮してしまった。

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