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ホテルの人に案内されて
会見場に入る

視界を奪われるほどのフラッシュに
足元がふらつく。

「本日は私　坂井　賢夢のためにお集まり頂き
　誠にありがとうございます」

深く頭を下げて数えきれないマイクの前に座る。

『坂井くん　熱愛発覚ということですが
　事実関係は？』

会場からあがる質問の声

それを司会をするマネージャーが遮る。

『恐縮ですが
　質問は挙手をされてください。
　順番にお伺いします』

会場内の記者の手がバババッとあがった。

『はい、前列４番目の方』

『週間女子の高橋です。
　今回の記事の件ですが事実関係をお願いします』

台本通りだ。

『はい。
　事実です。
　１年ほど前からお付き合いをさせていただいています』

次々と手があがる。

『ドラマのヘアメイクさんとお伺いしましたが』

『はい。再会したとき彼女はヘアメイクさんでした』

『再会？以前もお付き合いがあったと？』

『実は彼女とは高校時代に出会っていました』

『え？じゃあ甲子園に出場した時代？』

質問は台本通り細切れに進む。

『詳しく言えば、僕が高１の5月頃だったので
　甲子園に出る前です』

『どんな出会いだったんですか？』

僕は少し考え込んで
あの頃を思い出すような仕草をした。