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淡雪

第16章 崩壊

「坂井くん...

 ごめんね。

 辛い想いをさせて...」


璃子さんの指が僕の涙を拭う。


僕は静かに泣いた。


「私と付き合うということは

 こういうことなの。

 だから坂井くんのせいじゃないよ。

 苦しめてごめんね」


僕は立ち上がり璃子さんを思いっきり抱き締めた。

「ありがとう 坂井くん

 私も 幸せだったよ


 ごめんね

 分かっていたのに...

 あなたの想いに甘えたの

 
 だから


 もう 苦しまないで」


璃子さんも僕をギュッと抱き締めた。


優しい感情が僕を包む。


ゆっくりと

ゆっくりと

僕の心は落ち着いていく。


「守ってあげられなくて


 ごめん」


璃子さんは僕の胸の中で

小さく首を振った。






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