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淡雪

第16章 崩壊

病院へ戻る。


璃子さんは目を覚ましていた。


ーー言葉で...伝えなきゃ。


「璃子さん...」


璃子さんが振り向く。


「坂井くん

 さっき来た?」


璃子さんが心配そうに僕を見た。


「うん 来たよ」


僕はベット脇の椅子に座った。


「璃子さん、ごめん

 キャシーさんに直談判したけど...


 聞き入れてもらえなかった」


璃子さんは静かに頷く。

「...無理だと 思う...」

 
「璃子さん」


僕は璃子さんをまっすぐに見つめる。


「別れよう」


璃子さんはなにも言わない。

 
「僕の側にいたら


 璃子さんを苦しめるだけだから」


璃子さんの指が僕の頬を撫でる。


僕は


泣いていた...



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