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淡雪

第17章 誓約

「やっぱ銀座だな、銀座」

なんかすごい楽しそうなんだけど...


「田村くん、僕プロポーズの指輪はもう渡したんですよ。
 もう一度買う意味もわかんないし
 それにもう金ないっすよ」


最近少しは売れ始めたとはいえ
所詮駆け出し。
お金はゆっくりとしか付いてこない。


「お前別れてくれって言っちまったんだろ?

 ようは振り出しだ。

 なかったことになっちまったんだ。

 もう一度プロポーズするならやっぱりやり直しだろ?!

 女は何度プロポーズされたっていいんだよ。

 もう一度お前の本心と決心
 璃子ちゃんにぶつければいいじゃん」

ーー......。
  そんな簡単に...。


「お前ってほんとに真面目な。


 だったら俺が璃子にプロポーズするが

 いいか?」

田村くんの目は...
マジだ


そんなの...


「嫌です」


田村くんがまっすぐに僕を見る。


「じゃあ、どうする?」


僕は強く田村くんを見つめ返す。


「もう一度 プロポーズします」


田村くんはフッと笑って...


「賢夢、やっぱりカルティエかな?

 それともブルガリか?

 でもお前若いからな。

 可愛くstarjewelyもいいな。

 真珠もアリだな

 な!どうする?」


ーー ......


「どうするって

 田村くん一緒に店に行くんですか?」


「この状況だったら

 行くだろ」


ーーマジか


「田村くん行くなら

 事前に連絡しないとパニックになりますよ」


「ん?

 ブルガリとカルティエなら連絡してあるから

 裏から入れよ」


ーーなんで決めてんだよ!!


からかわれているのは分かってる。

だけど、こんな俺の背中を押しに来てくれた
先輩に感謝する。



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