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淡雪

第19章 危険なガーディアン

それはアイツが旅立つ少し前


「どうした?」

待ち合わせたbarでアイツは待っていた。
神妙な面持ちで。 

カタンと椅子を鳴らして立ち上がると
俺に向かって頭を下げた。


「色々とありがとうございました」


俺はチラッと横目で見ただけで隣の席に座った。


「なにが?」


「あの...

 婚姻届のこととか、Jさんを説得してくれたこととか」


「なんだ、そんなことか。

 別にいいよ。

 それより座れよ」


俺は目の前に立つバーテンにビールを注文した。

冷やされたグラスに生ビールが注がれ
俺の目の前にスッと差し出された。


「ま、とにかく

 おめでとう」


俺はアイツに向かってグラスを掲げた。


「ありがとうございます」

慌てて自分のグラスを持ち俺に頭を下げるアイツ


俺はビールをイッキ飲みして
同じものを頼んだ。


「で、呼び出したのってその事?」


「い、いえ...」


アイツは居ずまいを正す。


ひとつ深呼吸をして俺の方を向いた。


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