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淡雪

第3章 魔性の彼女

でもそんなことは僕の範疇の外だった。


本当は喜ぶべき話で、もともと母親に楽をさせたいと始めたアイドルなんだからこんな栄光を掴めるなんて滅多にないチャンスなのに


僕は、子供の僕にとって

いや、恋した少年にとっては槙さんを振り向かせることが何よりも最大の目的だったから他のことには殆んど無関心になっていた。


だからすっかり槙さんに乗せられて役者にさせられていることにも、芸能人田辺凖一として確実に進化させてもらっていることにもこのときはまったく気づいていなかった。

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