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淡雪

第20章 スターの代償

「よくやってくれた 璃子」


「いえ」


私は短く言葉を返す。


「ハリウッドのキャスティングディレクターから連絡が来たよ。

 今度の映画撮影が終わったらオーディションを受けさせることにする」


「田村さんは?」


「もちろんやる気だ」


「そうですか...」


「その前にもうひと仕事ありそうだがな」


「Jさんは田村さんを追い出したいのですか?」


相手が少し言葉に詰まる


「なぜそう思う?」


「あなたの理想のアイドルとはかけ離れてしまったから」


「ふふ... 璃子には敵わんな

 しかし、もうしばらく稼いでもらうよ。

 田村が抜けたあとの穴は流石に大きいからな」


「...  」


この男にとっては田村さんも私も商品。

利用するだけ利用する。

分かっている。


「もっと 田村を煽れ

 追い詰めるんだ」


「でも...」


「迷いはいらん。

 どう転がっても田村にとっては叶わぬ想い。

 ならば最大限に引き出してとてつもないスターダムに押し上げてやれ」


「... わかりました」


そういうと電話は切れた。







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