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淡雪

第20章 スターの代償

俺は通りのカフェで一人ぼんやりと道行くひとを眺めていた。

璃子はなんだか忙しいらしく朝からどこかへ出掛けていった。


「Hi ! タムラじゃない」


頭上から陽気な声が聞こえてきた。

この女見たことある...


「あら?! 覚えてないの?」


俺は思い出そうと眉間にシワを寄せる。


「私も日本の化粧品会社に呼ばれてきたのよ」


「ああ。モデルの!」


そのデカく細身の女は俺に微笑む。


「会いたかったわ タムラ」


そう言って俺の頬に挨拶のキスをする。
俺も挨拶のキスを返す。


「一人?」


「ああ」


俺の向かいの席に腰かけると


「シャロン スペンサーよ」


と名乗った。


「リョウヤ タムラだ」


彼女はアメリカ人でニューヨークを拠点に活躍するスーパーモデルだそうだ。

今はDioに抜擢されてコレクションやコマーシャルにも出ているという。


もちろん英語での会話だから俺が分かるのはこの程度。

シャロンが日本語を話すはずはなく...


シャロン一人機嫌良くペラペラと話をして


「またね」


と消えていった。





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