淡雪
第20章 スターの代償
「準備はできたか?」
「ええ」
「そうか」
璃子は今日、日本へ帰る。
5年の俺との契約も終了した。
璃子は契約更新はしてくれなかった。
「もう私は必要ないでしょ?」
と微笑まれたら返す言葉なんて...ない。
忘れたふりをしていたが璃子は人妻だ。
5年をかけて何とかするつもりだったが、彼女とはなんの進展もなかった。
坂井は本人の必死の努力でスポーツキャスターとライターの地位を確立し、ワールドカップやオリンピックではどの局もタレントも立ち入れない選手や場所にでも入り込み、新たな切り口でスポーツの醍醐味を伝えられるようになっていた。
「やっと坂井と暮らせるな」
俺は心にもないことを口に出す。
「うん」
そんなに嬉しそうに笑うなよ。
そんなにアイツに惚れてたなんて見えなかったぞ。
俺は璃子を空港まで送ってゆく。
璃子との最後の時間。
彼女にサヨナラと手を振ったらすべてが終わる。
俺はハリウッドセレブと呼ばれる憧れの存在になったが、欲しいものは結局手に入らなかった。
ーー俺は選ばれなかった...
サヨナラ、璃子
「ええ」
「そうか」
璃子は今日、日本へ帰る。
5年の俺との契約も終了した。
璃子は契約更新はしてくれなかった。
「もう私は必要ないでしょ?」
と微笑まれたら返す言葉なんて...ない。
忘れたふりをしていたが璃子は人妻だ。
5年をかけて何とかするつもりだったが、彼女とはなんの進展もなかった。
坂井は本人の必死の努力でスポーツキャスターとライターの地位を確立し、ワールドカップやオリンピックではどの局もタレントも立ち入れない選手や場所にでも入り込み、新たな切り口でスポーツの醍醐味を伝えられるようになっていた。
「やっと坂井と暮らせるな」
俺は心にもないことを口に出す。
「うん」
そんなに嬉しそうに笑うなよ。
そんなにアイツに惚れてたなんて見えなかったぞ。
俺は璃子を空港まで送ってゆく。
璃子との最後の時間。
彼女にサヨナラと手を振ったらすべてが終わる。
俺はハリウッドセレブと呼ばれる憧れの存在になったが、欲しいものは結局手に入らなかった。
ーー俺は選ばれなかった...
サヨナラ、璃子