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淡雪

第20章 スターの代償

あれから5年...





俺はハリウッドセレブの仲間入りをしていた。

俳優業と共にDioのスチールモデルにも起用されたお陰だ。

そして...逆輸入された俺を日本のマスコミは持て囃した。

ハリウッド映画はここ数年低迷している。
とはいえ日本に比べればギャラも待遇も破格だ。


stampは2年前に解散した。

キャシーとチーフマネージャーとの確執が表面化。宝塚のような王道のアイドルを創りたいキャシーと時代に合わせて変革していくべきというチーフマネージャー。どちらの言い分も間違いではない。ただ、チーフマネージャーの方が先見の明があり、実績もある。キャシーの嫉妬がないとは言えない。

事実、キャシーが手掛けたグループはパッとしない。でもキャシーはそれを受け入れることはしない。チーフマネージャーがいるせいで成功しない。彼女はそう思っている。

結局二人が歩み寄ることはできず、キャシーはチーフマネージャーにstampとともに事務所を出ろと告げた。決して悪い条件ではない。違約金もない。今までの功労。キャシーに言わせればそういうことだろう。

ただ...俺はその独立には反対だった。
stampはJ事務所というバックボーンがあってはじめて活躍できる。ここまでJ事務所が力をつけてしまった今、テレビ局もスポンサーも俺達を使ってくれるとは限らない。

俺は契約満了と同時にstampからの脱退を表明してハリウッドのエージェントと契約した。

そして俺が脱退を表明したことで他のメンバーの不満も噴出。結局stampは解散した。

俺は自分勝手なやつと世間から批判された。
苦楽を共にしたメンバーやチーフマネージャーを切り捨てたと。
ファンからは裏切り者扱い。

それでもいいと思った。
いままでstampとして必死にやって来た。
それでも拭えない不安...。
どうせ薄氷の上なら世界で戦いたいと思った。


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