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淡雪

第3章 魔性の彼女

僕はフラフラとその場を立ち去る。


壁づたいに生気なく歩く僕にみんなが不審な目を向ける。


「どうしたの?」


声をかけてくれたのは松下さん。


「いえ。

 朝から番宣や歌番組の収録があって

 少し疲れたのかも...」


ヘナヘナとその場に座り込んだ。


「もう!若いんだからしっかりしなさい!」


ちょうど通りかかった共演者に声をかけて椅子を用意してくれた。


「少し休んでなさい

 あら、メイクまだ?」


「あ、槙さん施術中みたいで...」


松下さんは一瞬怪訝な顔をした。


「ふーん。

 なら私のメイクさんに頼むわ。

 ちょっとまってて」


松下さんは廊下を走り去りスタジオへと消えた。



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