テキストサイズ

淡雪

第6章 坂井 賢夢

彼女はずっと眠り続けている。


あの日医務室から運ばれる彼女を見た。



桜の木の下で目を閉じ満開の桜に囲まれた彼女を見たとき本当に桜の妖精かと思った。


あまりにも美しく 儚げで


桜の花が散ってしまったら彼女も一緒にいなくなってしまうんじゃないか


なんて幻想に襲われて...


思わず歩み寄って唇に触れてしまった...


僕はずっと彼女が忘れられなかった。


以前ドラマのチョイ役で出演したとき
緊張のあまりNGを出し続けた俺を
彼女が救ってくれた。
あの時の感覚が忘れられずにいた。


だから、准一のドラマを見たときは...

もしかしたら准一に彼女を取られるんじゃないかと嫉妬でおかしくなりそうだった。


いま、こうしてまた槇さんのそばにいられることがとても嬉しい。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ