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淡雪

第6章 坂井 賢夢

時計に目をやる。


ーーそろそろ入り時間だ


握っていた彼女の手をベッドに戻し


そっとキスをする。


早く彼女が目覚めるように願いを込めて...


病室を出てナースステーションの面会カードに退出のサインをする。


毎日2週間も通っていれば自然ナースとも顔馴染みになる。


「これからお仕事ですか?」


「ええ。また明日来ます」


「槇さん幸せね。

 こんなに素敵な彼氏が毎日来てくれるなんて」


そういうナースの言葉に笑顔だけ送る。


「ではまた明日」


「もし槇さんが目覚めたらご連絡します」


僕はナースに連絡先を伝えていた。


「宜しくお願い致します」


ゆっくりと病院を後にする。



彼...ではないけど



槇さんごめん

今だけでいいから君の彼でいさせて...


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