姫恋
第2章 ☆出会い
「ちょっと待ってて」
男が出ていった所でアタシはベッドを下り、鞄の中身を確認。
何もなくなっていない事にホッとしつつ、静かに部屋を出た。
すると
玄関から話し声が聞こえてきた。
近くの壁に隠れて様子を伺うと
見えたのは…女。
来客ってもしかして…
彼女?
そうだとしたら
今この状況はマズイのでは?
朝から彼氏の家に知らない女がいるんだよ?
完ッ全に浮気相手にしか見えない。
長引く2人の会話。
内容ははっきりとはわからないけど
どうやらモメているみたい。
声のトーンがヒートアップしている。
この雰囲気はあまりよろしくない。
何も悪い事してないのに
『バレたらマズイ』って思ってしまう。
引き返そうとしたけど
痛む頭に視界が歪み
その場にしゃがんでしまった。
こんな所で蹲っている場合じゃないと
もう一度立ち上がろうと腰を上げた瞬間、ポケットに入っていた携帯電話が勢いよく床に落ちた。
盛大なその音は
誤魔化しようがない。