齧りかけの林檎
第5章 ● 君の名前 ♀side
彼は本屋まで送って行くと言ってくれた。
でも本当にすぐ近くだったし
大丈夫だよと答えたのに、
心配だからダメです!なんて
かっこいいことを言ってくれて、
結局本屋まで送ってくれた。
彼は走って本屋から出て行った。
ゆっくり行ってきてって言ったのになぁ。
わたしはこっそりと美容コーナーの棚に向かった。
ピンクの女子力の高そうな本がいっぱい並んでいて、ちょっと引いた。
ここ数年、見向きもしなかった本達だ。
たまに動画サイトで、メイク動画などは見ていた。
でもそれはメイクの勉強というより、
メイクでどんどんと顔が変わっていく様子が見たくて
見ていただけだった。