齧りかけの林檎
第5章 ● 君の名前 ♀side
目の前に並んでいる本の、平積みしてある1冊を手に取った。
パラパラとめくるだけでめまいがした。
なぜこんなにもピンク色なんだ?
わたしの好きな色は、緑・白・からし色。
自分でもちょっとおばあちゃんみたいだと思っている。
地味な色が好きなのだ。
昔、もっと恋愛をしていた頃
恋愛運が良くなると聞いて
部屋の中のいろいろな物がピンク色だった。
でも一人になってから、そのピンク色の物達は必要な物ではなくなった。
こんな物で恋愛運なんて、よくなるわけがないのだから。