齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
それにしても、かっこいい顔だなー。
女の子にモテるんじゃないのかな?
鼻はスーッと通っていて
唇は大きすぎず、小さすぎず?
少し薄めの唇だった。
同世代の中じゃ
イケメンだと思われるであろう。
わたしの年齢からすると、
前髪を留めているピンのせいもあってか、
かわいらしく感じた。
そのかわいらしい男子高校生が、
なぜかわたしの手を握り固まっている。
正直もう寒いし帰りたい。
「このタオル、持ってって。
他にも髪とか濡れてるし。
返さなくてもいいからね?
ほら、手。
手、出して」