齧りかけの林檎
第2章 ● 真っ赤な君 ♂side
ダチに
「おまえなにボーっとしてんの?」
って言われたときは
彼女を見ていたことがバレるんじゃないかって、
誰にも見せたくない、
気づかせたくないって思って、
「え!?な、なにも見てないよ!
ただ昨日ちょっと
夜中までゲームやっちゃって、
っていうか狩りしててさー。
ちょっと眠いっていうか?
ボーッとしてただけだよ」
「え?おまえあの新作買ったの?
なんだよ、
言ってくれれば通信したのにさー。
今日やろうぜ?」
よかった、ごまかせた。
図書館の人に、静かにしてくださいとまた怒られながら
チラチラと彼女の様子を見た。