齧りかけの林檎
第2章 ● 真っ赤な君 ♂side
でも夏休みが終わり、秋になり
学校も部活もあるから、
たまにしか図書館に行けなくなった。
図書館は木・金は遅い時間までやってるらしく
部活が終わってから行くと、
あの彼女がいつもの窓際の席に座っていた。
おれは今日の宿題をしながら
チラチラと彼女を見ていた。
夏よりも少し髪が伸びて
ロンTにぐるっとマフラーを巻いた彼女を。
マフラーのせいで、笑ったときの彼女の口元が見えない。
あの本を読みながらちょっとだけ上がる、唇の端っこ。
あのぐるぐる巻きのマフラーはかわいくて好きだ。
彼女にとても似合ってると思う。
でもやっぱり
彼女が本を読みながら、
こっそり笑っている顔や
真剣な顔を、もっと見たいと思ってしまうんだ。