齧りかけの林檎
第2章 ● 真っ赤な君 ♂side
どんどん季節は過ぎて
11月になった。
5時には真っ暗になるから
部活が終わるのが早くなった。
部活が終われば、おれの時間だ。
ダチからのラーメンの誘いを
ちょっと行きたかったなー、なんて思いながらも断り
図書館に通った。
どうやら、彼女は木金の
この遅い時間に来ることが多いようだった。
5ヶ月弱に及ぶ、観察の成果だ。
今日は黄色みたいな、からしみたいな色の短いダッフルコートに
いつものマフラーぐるぐる巻きだ。
かわいいなーと思いながら、
今日も宿題をしつつ
チラチラと彼女を見つめていた。