齧りかけの林檎
第14章 ● 君の答え ♀side
その後も歩くんは、
少し時間を空けながら
ポツリポツリと
すき、すき、と言ってくれた。
その言葉が、
じわりじわりと、
わたしの中の氷を
溶かしてくれるようだった。
わたしは、歩くんにバレないよう
声を殺して涙を流した。
わたしの過去の話を聞いたら
また一人になってしまうんじゃないかって
不安でたまらなくなる。
「泣き顔、見せて?」
「なんでわがっだのぉ・・・」
涙声で答えてしまう。
後ろから抱きしめている歩くんには、
絶対にバレないって思っていたのに。