齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
おれは学校から出ると、兄貴に電話をかけた。
「なに?」
兄貴はまた二日酔いなのか、
機嫌の悪い声で電話に出た。
「二日酔いに効くもんとか、
食べたくなるもんとかない?」
「なに?おれに買ってきてくれるとか
歩もたまには、優しいとこあんじゃん。
えっとねー、」
「おめぇにじゃねぇよ」
なんでおれが、
好き好んで兄貴なんかに
そんなもん買っていかなきゃ
いけねぇんだよ。
「なにー?今度は年上の女?」
「いいから、早く」
「二日酔いの薬じゃ色気ねぇから、
ポカリとか、ゼリーとかがいんじゃね」
「わかった、サンキュー。じゃ」
「おい、歩!」
「なに?」
「GOOD LUCK☆」