齧りかけの林檎
第2章 ● 真っ赤な君 ♂side
彼女は白い傘を広げていたから、
もしかしたらおれには気付かないかもしれない。
いや、気付かないでほしかった。
こんなにかっこわるいおれのこと
見ないでほしかった。
気付かないで・・・
ずっと見てるだけでもいい。
自慢じゃないけど、
バレーをやってるからなのか
身長はそこそこ高い。
身長の高い男っていうのは
かっこよく見えるらしく、
女の子にもたまに告白されたりする。
でもあの子のことが好きだから
「おれ好きな人がいるんだ、ごめん」
いつもこうやって断っていた。
そのツケが今来たのか・・・?