齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
「気付いたら、
ずっと目で追ってて、
ゆりさんに逢いたくて
図書館に通ってた」
夏休みもほとんど毎日、
夏休みが終わってからも。
ゆりさんが見つからない日は
勉強なんて、もっと手につかなくて、
いろんな理由使って
ダチより早く帰ってた。
おれが誘ってんのに、だよ。
「し、知らなかった」
「だって、その時に
もし声かけてたら怖くない?」
おれもそんな勇気なんてなかったけれど、
機会があったら
話しかけたかった。
図書館のあいつを見てるあなたを見るのは
本当に嫌だったし、
おれだけを見てもらいたかった。