齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
なんでわかったの、なんて
わからないわけないじゃない。
あんなにじゅるじゅる、しておいて。
あんなに近くに居たんだから、
おれじゃなくてもわかるよ。
おれしか近くに居られないようにするけど。
「それはねー?
鼻水じゅるじゅるいってるよ、
ゆりさん」
泣いている彼女がかわいくて、
少しいじわるしちゃった。
おれは彼女を抱きしめる腕を離すと、
リビングに向かい、ティッシュを持って
彼女の横に置いてあげた。
これなら、鼻かめるでしょ?
かわいいんだから、ほんと。