齧りかけの林檎
第15章 ● 君の気持ち ♂side
未だに、うわんうわんと
泣き止む様子のない彼女。
おれは彼女をぎゅっとしたまま、
子守をするように
左右にゆらゆらと、体を揺らした。
彼女の気持ちが
少しでも落ち着くように。
「わだじ、ずっごい、ずっごい、
重いよ?」
「うん、重いんだろうなって
今ひしひしと感じてるよ」
ゆりさんってもっと
恋愛にはドライな人なのかなって思ったから、
なんか嬉しくて、楽しくて、
おれが泣かせてるのかもしれないけれど
重いって自負しちゃうくらい
おれのことすきだって
気付いてるんじゃないの?
そうだよね?ゆりさん。
早く気付いて。
おれだけしか見えないように、なって。