齧りかけの林檎
第16章 ● 王子様な君 ♀side
歩くんのかわいらしい顔が、
すぐ近くにある。
すごく柔らかく笑った、歩くんの顔が。
彼はわたしを少し抱きしめると、
チュッと、軽くキスをしてきた。
「・・・やばい、超、抱きたい」
い、いいい言わなくていいよ、
そそそ、そんなことー!
「ま、また今度ね」
「うん、怪我治ったら
おれのものにするから」
彼はわたしの目を見ると、
囁くように
「覚悟しといてね」
と言った。
高校生のくせに、
色気たっぷりの表情を浮かべて-----。
こんなかっこよくて、
10歳も年下の男の子が
わたしの彼氏になるなんて、
誰が予想できたのでしょうか・・・。
【第16章 王子様な君 ♀side END】