齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
しょうがない・・・。
入り口にある返却口に、
持ってきた本を入れていこう。
また明日借りにきたらいい。
手に持っていたトートバッグから、
少しずつ本を取り出して
返却口に入れる。
ありがとうございましたー、
今回も楽しいお話ばかりでした。
バサッ、バサッと返却口から
本が落ちる音が聞こえる。
本が傷みそうで、
あまりこの場所に入れて返すのは好きではない。
少しでも衝撃がかからないように
意味があるかはわからないが
1冊ずつ優しく入れていると、
あと1冊で手元の本がなくなる時
遠くから走ってくる足音が聞こえた。