齧りかけの林檎
第1章 ● 真っ赤な君 ♀side
この図書館は高校のすぐ近くにあって、
よく学校帰りの高校生達が
本を借りに来ていたり、
勉強をしに来ていたりする。
こんな雨の中でも高校生は元気だなー。
わたしなんてアラサーといわれる
この年齢になってからは、
昔以上に走ることはしなくなった。
小学生の時から
走ることは大嫌いで、
朝の運動がしたくないが為に
遅刻ギリギリに学校に行っていたのである。
近づいてくる足音を聞きながら
最後の本を返却口に入れると、
本屋にでも寄ろうかと考えながら踵を返す。