祠の鬼
第1章 鬼の噂
「ねぇ、学園の祠の噂知ってる?」
学園の静まり返った図書室で友達の沙夜(サヤ)から、突然そんな事を言われ目を白黒させる。
本を借りに図書室へひとりで訪れ数分も経たないうちに、沙夜が駆け込んで来た。
花籠(ハナカゴ)ありさは戸惑いながらも頷く。
「鬼が封じられてるんだよね……?」
「そうそう!本当かどうか試しに行ってみようよ、どうせタダの迷信だろうけど」
「え!?わ、わたしもいくの……?」
「あたりまえじゃん!私たち、友達でしょ」
当然のように言われありさはとうとう断る事ができず、頷いてしまった。
「ありさ大好き!やっぱり持つべきものは友達だよね〜あ、そうだ雨野(アマノ)くーん」
一度ありさに抱きついてから、カウンターにいるであろう同じクラスの女子から人気がある男子の元へ沙夜は駆けていった。
内気な性格で誰にも声をかけられず、ひとりでお昼を食べようとした時声をかけてくれた以来、沙夜とはずっと一緒だ。
「……仕方ない、よね」
ありさはそう呟き借りようとしてた本を一冊取り、カウンターへ向かう。