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祠の鬼

第8章 傍観者

リビングへ行くと、空になったグラスと待ちくたびれた響がいた。



「お前な……人に頼んどいて、いないとかありえないだろ。いつもの事だから、様子見に行かなかったけど」

「ごめん……」

「いつもなら手作りしてるんだけど、コンビニで買ったジュースで我慢してくれ」

「別に気にしないで。……響、あの子は大丈夫なの?」

「ありさか……」



響は考え込む。



ありさも相当精神的に参ってて、お互い緊張の糸がプツリと切れたようだった。



あの祠の件以来連絡は取ってない。と言っても、数日だが。



「……本当に、一体どうしたらいいんだろうな。明らかにあの祠が関係してる事は確かだけど……有十も、部屋から出てこないし」

「……有十も?部屋に入れないの?」

「あいつ、特殊な鍵使ってて。俺ですら知らないんだ、教えてくれないし。鍵屋でもわからないみたいだった」

「それやばい。響、有十の部屋教えて!」

「ああ……確かに心配だけど、どうしたんだよ突然」

「……ごめん、今は聞かないで」



尋暁は一気にグラスの中のりんごジュースを飲み干す。



「……ああ」



そう返事をするのがやっとだった。



みえない真実。



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