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祠の鬼

第3章 当日、裏切り

夢を見た。



姿はよく見えないけど、それが鬼だと何故か確信があった。



……鬼……



ゆっくり伸ばされる手。



振り払いたいのに、体が動かない……!



そして、鬼はこう言った。






「……おかえり、鬼の花嫁」






そこで目が覚めた。



「……夢?こわい、こわいよっ……」



ガタガタ震えるありさを、ふわりと何かが包み込んだ。



「永津間くん……!?」



後ろから抱きしめられ、ありさがおどおどしていると、優しい声が降ってきた。



「俺がいるから」



たった一言だけだったけど、すごく安心する。



ありさはこくりと頷いた。いつの間にか震えも治まり、ありさが落ち着いた後も、響が離れる事はなかった。



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