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祠の鬼

第4章 始まり始まり

黙ったまま一言も発しなかった有十が口を開く。



「鬼か……都市伝説っぽいね。現代で鬼が、いるって思う人の方が少ないだろうし。にしても、祠に行かなくても本当に大丈夫なの?」

「もともと約束してたわけじゃない」



響はきっぱりと否定し、コーヒーに口をつける。



「まあそうなんだろうけど。あ、紅茶いれ直そうか?」

「ううん、大丈夫。ありがとう有十くん」



ありさがそう答えた時、カバンの中の携帯が震えた。



「ごめんね、ちょっといい?」

「どうぞどうぞ」



有十が笑顔で進めると、ありさはほっとした顔でカバンから携帯を取り出し、中身を確認する。



……



…………



「ひっ……!」



突如短く叫び、携帯が、手から滑り落ちた。



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