祠の鬼
第6章 迷走、闇の中
「ありさ、ありさ、ありさっ!」
懸命に名前を呼ぶ者に引き戻されるように、ありさは目を開けた。
いつの間にかソファで寝ていたらしく、ブランケットが掛けてある。
「あ……永津間くん?ずっと……いてくれたの?」
「ああ、ありさをほっとけるわけないだろ。それより……大丈夫か?うなされてたけど」
「……夢、だと思う」
「だと思う?」
響が怪訝そうな顔をすると、ありさはハッとする。
「ううん、大丈夫だから……なんでもないの」
「ありさ……」
酷く疲れたような顔をしたありさにこれ以上何も言えなかった。
「今日学校は……?平日、だよね?」
「今日は休校だよ、担任からメールあった。多分各クラスの担任が、メールを一斉送信してるはずだ。ありさの携帯にもきてるんじゃないか?」
「……そ、そっか」
「……ごめん」
「永津間くんだけのせいじゃないよ……わたしのせい、でもあると思うから」
そう言って青い顔をして笑う姿は、無理をしているように見えた。