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祠の鬼

第8章 傍観者

「響……顔色、悪いね」



開けて数分で後悔する。



響が一体何と言って帰ってもらおうか考えていた時。



…………え



尋暁の冷たい手が頬に触れる。混乱する最中、信じられない事を口にした。



「今生じてるものはすべて、たった一つの因果だよ」



まさかここで聞くとは思わなかった一言を聞き、驚きを隠せない。



“因果”



何かの原因があって、その結果がこれなのか……?



伸ばされた手が離れる。



「中入れて。喉渇いた」

「……わかった。入れよ」



さっきまで緊張感が嘘だったかのように解け、響は安堵した。



響が奥へと消えた後、誰もいないはずの空間を見つめ――



「ねぇいい加減出てきたら?いつもは視線感じてても無視してるけど、今機嫌悪いんだよね」



不機嫌そうに言い放つ。



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