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祠の鬼

第1章 鬼の噂

ありさが慌てて手を引っ込めると、そんな反応が返ってくると思わなかったのか、きょとんとする響に沙夜が笑う。



「この子、男女問わず人が苦手なのよ」

「そうなのか……ごめんな」



申し訳なさそうに謝る響にありさは首を振る。



「あなたは悪くないです!悪いのはわたしです……あ、ありがとうございました」

「ありさは純粋なんだな」

「名前どうして……」

「南田さんがさっき呼んでたから」



そんな微笑ましい光景に沙夜は首を竦め、深理の方を振り返り思わず息を呑む。



無言でふたりを見つめるその様子にどこか、違和感を感じた。何が、とはわからないが。






結局――この日に響が参加するか決まらないまま、アドレスと番号だけを交換して、終わった。






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