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アイドル様の、ホントのお顔

第2章 ~はじまり~

「なぁ…もういいだろ綾。」

「いいじゃん。 もうちょっとくらい付き合ってよ。」

ちょっとって…もう二時間くらい待ってるんだけど…

「後ちょっとなんだからさ~。」

「はぁ…」

厄日だな。 こんなことに付き合わせられるなんて…

「あっ!! 来た!!!」

目的の人物がやって来ると、綾は目を輝かせた。

「「REN様~!!」」

「…………」

相変わらず、すごい人気だ。

「もうっ…REN様の握手会に来れるなんて夢みたい!!」

ほんと…これが夢だったらいいのに。

周りの女の子のテンションの上がり方に弱冠引きながら、俺はそう思った。

「みんな、今日は来てくれてありがとう。」

「「キャーッ!!!」」

RENが軽く挨拶すると、ファンの女の子が歓声を上げた。

…耳が痛い。

「みんながいてくれるからこそ、俺はアイドルを続けていけるよ。」

「「REN様~っ!!!」」

大体、どうして俺がこんな所にいるかというと…

俺の妹の綾は、今話題の人気アイドル…RENの大ファンだ。
先日、100人限定の握手会の抽選に当たったのだが、一緒に行くはずの友達の予定が合わなかった。

それで、俺を無理矢理連れて来たのだ。

「早く回ってこないかな~?」

「…………」

あ~…帰りたい。

はっきり言って、俺はRENなんてどうでもいい。

早く帰って、好きなバンドのライブDVDを観たい。

「今日はありがとうね。」

「い、いえっ…これからも頑張って下さいっ!!!」

やっと順番が回ってきた。 さっさと終わらせて、早く帰ろう。

「次は…あれ? 男子がいるなんて初めてだな。」

「…………」

だろうな。 男のファンなんてそうそういないだろ。

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