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アイドル様の、ホントのお顔

第3章 ~REN~

「おいおい。 まさか、置いてきたのか?」

「…………」

あほだ、俺…

「お兄ちゃん、どうするの?」

「あ~…なんとかする。」

あいつに頼るか?

いや、でも…あいつには頼りたくな…

「遼馬、携帯鳴ってる。」

「あ…ほんとだ。」

このタイミングで携帯鳴るとか…嫌な予感しか…

「はあ…」

携帯には、『新城蓮』の文字が。

「…………もしもし。」

めっっっちゃ出たくなかったけど、出なかった時の面倒くささを考え、渋々電話を取った。

さっき、出れないとか言って取れなかったし。

『おっそ!!』

「……………」

出て一発目が文句かよ。
ほんと、通話切るぞ?

『お前、今電話切ろうとしただろ?』

「………いや?」

なんで、こいつ…俺の考えがわかるんだよ。

『はぁ~…せっかく、お前が忘れていった制服、預かってやってるのに…』

「え?」

預かってるって…あいつが?

『それと…お前、撮影用の衣装、そのまま着て行っただろ? 借り物なんだから、次からはやるなよ。』

「………わかった。」

なんか、こいつに説教されると腹立つんだけど…

「ごめん。」

今回は、素直に謝っといてやるよ。

『ってことで、一個貸しな。』

「……………」

こいつに貸しを作るなんて、嫌な予感しかしない。

『それと、今日の晩飯は魚じゃなくて肉にしろ。』

「は?」

『今日は魚の気分じゃないんだよ。』

お前は子供か。

『わかったな?』

「……はいはい。」

魚…嫌いだったっけ?
メモにはそんなこと書いてなかった気がするんだけど。

『じゃ、また後でな。 今日も六時くらいに帰るから。』

「わかった。」

さすがに、昼飯までは要求してこなかったか。

そのことに安堵し、電話を切った。


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