テキストサイズ

ドラクエらんど

第19章 ビッツの館 (後編)

竹野内豊を向井理がお姫様抱っこするという、腐女子にはなんともたまらん絵図になった瞬間、朝陽が僕たちを照らし始めた。
朝陽はちょうどYUIさんが抱えていた鏡に当たり、反射してビッツの顔を直撃する。



『ギィヤァァァァァァァァァァ!!』



ビッツの顔が勢いよく燃えた。
それは瞬く間に巨大根っこにまで燃え移り、僕たちは急いで巨大ビッツから離れた。



「マルクス!!」



巨大根っこに襲われていた少年を、今度はYUIさんが抱きかかえて走る。
僕は心の中で「良かったな、少年」と呟いた。



炎の中でのたうちまわる巨大ビッツ。
その様子を僕たちは小高い丘から見ていた。
館は巨大ビッツによって破壊され、無惨なことになっていた。



「館が……ビッツ様の館が……」



少年は目に涙を溜めて呆然と立ち尽くした。
生き残った奴隷たちも声をあげて泣いている。



「……」



そうだよな…
あんな主人だったけど、彼らにしたら我が家みたいなものだっただろうし…辛いよな。



僕はチラリとYUIさんの横顔を見た。
YUIさんは燃え盛る館と巨大ビッツを、最後まで目をそらさずにまっすぐ見つめていた。









ストーリーメニュー

TOPTOPへ